初体験は、レイプだった。
中1の秋、下校途中に、待ち伏せしていた(と後に判った)若い男に、
突然背後から口を塞がれ、首筋にナイフを突き付けられた。
気が動転するばかりで、悲鳴をあげることすらできなかった。
家まであと数十メートル(皮肉にも処女作が誕生した辺り)の場所で、
コイツは拉致られた。
「おとなしくしろ、殺すぞ」などといったことを、耳元で何度も言われた。
心臓が暴れ、今にも胸を突き破って飛び出しそうだった。
そんなにも自分が生きていることを実感させられたのは、初めてだった。
<殺されるんだ、殺されるんだ私、今から殺されるんだ、殺されるのか…>
恐怖心はピークを越え、もはや笑い出しそうな領域だった。
連れ込まれたのは、ひとけのない、真っ暗闇に近い林。
そこから逃がしてやれたのは、逃げたいという本心だけだった。
そんなコイツに、男はキスをしてきた。コイツは一瞬だけ、ホッとした。
<なんだ、目的はそっちか>
小学校低学年の時点で、好きだったわけでもない男の子と、
遊びの延長ながら、ある程度の行為までは経験済みだったコイツにとって、
それくらい、さほど苦痛なことではなかった。
男は童貞だったのか、それとも若干の罪の意識からか、やけにぎこちなかった。
コイツは何だか、相手が気の毒に思えてきて、されるがままになりながらも、
「こんなことして楽しい?」と、冷静な口調で言い放った。
男はコイツを黙らすように、口にモノを押し込んできた。
厭がって歯を立てた上に、わざとらしく嘔吐くような素振りをしたら、
髪を引っ張られた上に、殴られた。
やっぱりこのまま帰れないかもしれないと思い、
何とか逃げなきゃと、抵抗しだした時には、もう遅かった。
痛くて痛くて、痛くて涙が止まらなかった。とにかく痛い、それだけだった。
男は自分の欲を満たすと、今度はコイツの首を締めだした。
コイツはそのまま、意識を失った。
それからどれくらいの時間が経った頃だろう。
コイツはその場で、自ら目を覚ました。そう、コイツは死んでいなかった。
そして、男がいなくなっていることを確認し、ゆっくりと立ち上がり、走りだした。
その時やっと、家族の顔が過った。お母さん…お姉ちゃん…お父さん……
声になりそうなのを堪え、ただただ走った。家を目指し、まっしぐらに。
駐車場の前で、母親が待っていた。コイツはその胸に飛び込んだ。また涙が溢れた。
と、同時に、コイツは明かしてしまった。何があったのかを。
本当の地獄は、そこからだった。
2002年12月17日
天罰
posted by コイツ at 00:00| U-16【回顧録】2002年12月〜2003年06月に連載。
